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【宮台真司×二村ヒトシ】マッチングアプリ詐欺が横行 「損得男」に引っかからないために「女が男を見極める3つの基準」

宮台真司と二村ヒトシが「男と女はどうすれば愛しあえるのか」を語る!

写真:PIXTA

 

■女が男を見極める3つの基準

二村 女性同士で自分の身を守るためのセックスの知識や、こういうのが楽しいセックスで、こういう相手が望ましい相手だという情報が共有されていないとしたら……。

宮台 女から女への同性間の伝承がないせいで、まともなセックスやまともな恋愛をしてくれる男を見分けることができなくなりました。失われた伝承線を埋め合わせるために、僕は自分が行っていた性愛ワークショップでは、女たちに3つの基準を挙げています。

 第一に、女が過去の性体験を喋ったときに耳を塞(ふさ)ぐ男は「同感能力を欠く」ので除外せよ。10人のうち7人の男を切り捨てられる。

 第二に、「君にはその髪型は似合わない」「君に似合いの服はこれだ」と言ってくる男は「女を似合いのアクセサリーとして見る男」だから除外せよ。

 第三に、「そろそろ母親に会わせたいと言う男」や「母親役をさせたがる男」は「母親の価値観を無自覚に内面化したマザコン」だから切り捨てよ。この3基準で残るのは10人のうち1人です。ちなみにこうした知恵は少し前まで女性の間で伝承され、シェアされてきたものです。

 でも、それがシェアされなくなったので、とても残念なことに若い女のセンスも頭も悪くなり、学習の土台がないので学習できずに失敗を繰り返し、程なく女子会で「性愛ってコストばかりがかかって無駄」とか「あの子はビッチだね」などとほざくクズ女になり果てます。

 それで仕事や資格取得や習い事などに逃避するようになった女たちに、一生独身を通すつもりなのかを尋ねると、「30歳になったら結婚します」などと答えます。バカ丸出しで呆れます。そんな無能力者の結婚は続きません。ほどなく家庭内離婚に移行することが確実です。

 社会は、法など言葉のプログラムで成り立つけど、性は、言葉を超えた匂いや体温や触感に支えられたオーラや雰囲気がコアです。象徴界(言語プログラム)に媒介された想像界(世界体験)が織り成す社会に対し、象徴界未然の想像界が大きな機能を果たすのが性愛なのです。

 だから、他の人が相手ならキャッチできない何かを「動物的に」摑めるかどうか、他の人が相手ならキャッチしてくれない何かを「動物的に」摑んでくれるどうかが、性愛の入口です。なのに今は若い男も女も言葉を頼り過ぎ。「相手がそれを嫌だというからやらない」とか。

 その点、子供に好かれる男はこうした条件をクリアしているから、女にモテます。でも逆が成り立たないのは、こうした条件をクリアせずに口がウマイだけというクズ男に、以前よりずっと多くの女が引っ掛かるからです。言葉を頼り過ぎる間は、彼女らは失敗から学べません。

 女から聞いた実話ですが、男が「これ使ったことある」とバイブを出してきて、女が「うん、もっと大きなやつ」と答えたら、衝撃を受けた男がバイブを封印した(笑)。露出プレイや複数プレイについても似た話を聞きました。そんなことで衝撃を受ける男の気が知れない。

 ◯◯プレイを体験したかどうかじゃなく、◯◯プレイを通じて何を体験したかだけがポイントです。昨今の女は相手の男が喜ぶから◯◯プレイをするだけで、自分がしたいからするケースが少ないと言いましたが、女が「したことある」と答えたときがむしろチャンスなのです。

 これも、女の心に映ったものを自分の心に映し出さず、言葉にだけ反応するから生じる愚昧(ぐまい)です。「ゆきずりの人々と複数プレイした」といった言葉に過剰反応して拒否の身振りを示す男はダメです。女から何も聞き出せないだけじゃなく、女の心を自分の心に映し出せません。

次のページ目の前にいる人を相手にできてない

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どうすれば愛しあえるの:幸せな性愛のヒント

宮台真司×二村ヒトシ 著

 

 

<目次>

はじめに あなたなら愛しあえる 二村ヒトシ

第1章 ほんとうの性愛の話をしよう

ナンパ師とAV男優

「母への恨み」と〈心の穴〉

女性が「うっすら病んでいる」世の中

男の〈インチキ自己肯定〉

男にもある「女性性」

男の名刺はペニスと同じ

なぜ男は素直にヨガれないのか

「変性意識状態」とは何か

「自分探し」より「自分なくし」

「法外」の共通感覚が支える性愛

政治と性愛は近代の特異点

享楽を奪われて正義に固執

制度よりも感情が重要だ

女は潮吹きよりハグが好き

AVの蛸壺化と勘違い男

快感の構造を侮るな

第1章 質疑応答編 61

Q 童貞脱出の方法を教えてください……

Q 女性がいま何に傷ついているのか分からない……

Q 彼女とのセックスでトランス状態にならない……

Q 女性をリスペクトすればするほど勃起しない……

Q セックスし続けても飽きない女性とは……

第2章 なぜ日本人の性愛は劣化したのか

「セックスレスの増加」と「精子の減少」

なぜ下ネタは話されなくなったのか

女が男を見極める3つの基準

なぜ若い人はセックスが下手なのか

メンヘラ女性とのセックス

アラサー以下の女性がメンヘラ化する理由

乱交とスワッピングの違い

性愛は自己承認のツールなのか

〈社会の劣化〉への鈍感さをもたらす〈感情の劣化〉

〈家族の劣化〉による〈感情の劣化〉

〈空洞的家族〉の再生産と〈性的退却〉

処方箋の鍵は〈空洞的家族〉を潰すこと

社会の中を生きるべく社会の外に出る

女性の性的ポテンシャリティ

〈感情の劣化〉から〈性的退却〉へ

なぜヒトラーはモテたのか

セックスはビフォア・アンド・アフター

「激しいセックスが好き」の意味

〈祭りのセックス〉から〈愛のセックス〉へ

「瞬間恋愛」とは何か

セックスとミラーニューロンの働き

第2章 質疑応答編

Q かけがえのない幸せを手に入れるのは困難……

Q 「性愛不全」は「身体性の欠如」も原因?

Q つきあってもいつも1、2カ月で別れてしまう……

Q AVを現実の世界と勘違いしてしまったら……

第3章 性の享楽と社会は両立しないのか

なぜ男の恋愛稼働率は女の半分なのか

社会の幸いと性愛の幸いの逆立

男の感情的劣化に対応する女

中動態の女と能動態の男の断絶

フェミニストvs オタク男子

『マッドマックス』と怒れるフェミニスト

社会が良くなれば「性愛的に」幸せになるか

「社会の物差し」対「性愛の物差し」

性愛でヒトはバンパイアに「戻る」

性愛を自覚的に損得から隔離せよ

「恋愛結婚」の誕生と「法外」の享楽

70年代の性解放とその後の展開

戦後もあった祝祭としての無礼講

先行世代の劣化で後続世代も劣化

恋愛における「真の心」の問題圏

あらゆる一目惚れは間違いである

「わいせつ」と〈なりすまし〉

昔の娼婦とAV女優の違い

「AV業界の社会化」が問題に

性のフラット化と「出演強要問題」

眩暈を排除せず包摂する統治へ

「損得」よりも「正しさと愛」だ

第3章 質疑応答編

Q 幸せなセックスを言葉で説明できるか?

Q チャットレディをやって罪悪感が残った……

Q 息子が幸せな恋愛をできるのか心配……

Q ダサいヤリチンばかりがモテるのはなぜ?

第4章 「性愛不全」から脱却する方法

エロい男は希少資源

メンヘラとヤリチンの共通点

「専業主婦廃止論」で言いたかったこと

相手の性愛願望にいかに応えるか

倒錯者というポジションをとろう

「良い変態」は社会の抜け道である

「委ね」「明け渡し」とヒモの資格

男と女はリバーシブルの関係に

女は詐欺師だから男よりも自由

「変性意識状態」を目指す

人間の性的エネルギーとAI

性教育とスクールカースト

第4章 質疑応答編

Q 自分が女性に何を求めているのか分からなくなる……

Q 女性が本当に性で解放されるにはどうすれば……

Q 恋愛のノウハウ情報が溢れていて正解が分からない

おわりに 〈なりすまし〉の勧め 宮台真司

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宮台真司/二村ヒトシ

みやだい しんじ にむら ひとし

■宮台真司 みやだい・しんじ

社会学者。映書批評家。首都大学東京教授。1959年宮城県生まれ。東京大学大学院人文科學研究科博士課程修了。社会学博士。権力論、国家論、宗教論、性愛論、犯罪論、教育論、外交論、文化論などで多くの著書を持ち、独自の映書評論でも注目を集める。著書に『私たちはどこから来て、どこへ行くのか』(幻冬舎文庫)、『いま、幸福について語ろう 宮台真司「幸福学」対談集』(コアマガジン)、『社会という荒野を生きる。』(KKベストセラーズ)、『正義から享楽へ 映書は近代の幻を暴く』(blueprint)、『反グローバリゼーションとポピュリズム』(共著、光文社)、二村ヒトシとの共著『どうすれば愛しあえるの』(KKベストセラーズ)など。

 

■二村ヒトシ にむら・ひとし

アダルトビデオ監督。1964年東京都生まれ。慶應義塾幼稚舎卒、慶応義塾大学文学部中退。監督作品として「美しい痴女の接吻とセックス」「ふたなりレズビアン」「女装美少年」など、ジェンダーを超える演出を数多く創案。現在は、複数のAVレーベルを主宰するほか、ソフト・オン・デマンド若手監督のエロ教育顧問も務める。著書に『すべてはモテるためである』『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか』(ともにイースト・プレス)、『淑女のはらわた』(洋泉社)、『僕たちは愛されることを教わってきたはずだったのに』(KADOKAWA)、宮台真司との共著『どうすれば愛しあえるの』(KKベストセラーズ)、千葉雅也と柴田英里との共著『欲望会議 性とポリコレの哲学』(KADOKAWA)など。

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